エコツアー・ドット・ジェイピー


オランダ留学通信

第16回
クロイラーミュラー美術館

upload:2006.11.27


正面玄関に立っているお馴染みのおじさん。
後ろの赤いアート作品と対でクロイラーミュラーのシンボルといってもいいかも。


前回とりあげたデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園内の必見スポットは、なんといってもクロイラーミュラー美術館です。 ゴッホ作品の収蔵点数としては、アムステルダムのゴッホ美術館と並び世界有数で、いつも多くの観光客で賑わっています。

コレクションは19世紀から20世紀の作品が中心で、ピカソ、モンドリアン、シラー、ブルースナウマン、ジャコメッティなどを含む豪華な品揃えで、見ごたえ充分です。また屋外庭園には、ロダンやヘンリームーアの彫刻が、緑の木立の中にさりげなく置かれていて、アートを身近に感じることができます。

庭園はとても広く、中には巨大サイズのアート作品もあって、傾いた家らしきものが、でーんと芝生の上に転がしてあったところを通りかかったら、子供が「トントントン、誰か入ってますか?」と大きな声で叫びながら、その家(作品!)を叩いていました。後ろから来たお母さんが「誰か住んでいた? 返事がなければ、もう一度ノックしてごらんなさい」と、子供を促していたりして、皆、思い思いにアートを楽しんでいるのです。

今でこそ、“自然”と“アート”の組み合わせは珍しくもありませんけれど、ここは1961年に本館に追加設立され、箱根の森美術館のモデルにもなったと聞いています。 公園と美術館は、ワーゲニンゲン大学からも近いので“レジャーと環境学科”に所属していた私たちは施設見学で訪問したこともあります。また修士論文を書く前には、スーパーバイザーの先生を伴って、社会調査の実施練習のため、級友たちと一緒にヒヤリング調査を実施したこともあります。
調査に協力してくれた人のなかにはドイツ在住の日本人駐在カップルがいて、これが思いがけず、私の日本でのご近所さんで、話がやたら盛り上がったのもいい思い出です。

場所はドイツ国境に近く、空路スキポールへ到着して、アムステルダム見学を堪能したあと、デュッセルドルフ、ケルンへ向かう途上に立ち寄る場所としても最適なので、機会があれば是非訊ねてみてください。

ところで、アルゴア元副大統領が地球温暖化のドキュメンタリー映画を製作したのはご存知ですか? 「不都合な真実」・・すでにアカデミー賞のドキュメンタリー部門でノミネートされたそうで、ちょっとした話題になっています。オランダの中学校では必須科目として上映され、多くの子供たちが鑑賞したのだとか。 折しも、今年は観測史上もっとも暖かい秋で、11月中旬だというのに温度計は18度を記録し、季節が1、2カ月ずれこんでいる模様。TVの字幕ニュースでは、過去300年の記録となっていたようですが、そもそも、そんな昔から気象統計をとっていたこと自体すごいですよね。

ご存知の通り、オランダの国土は多くが干拓地で海面下にあるため、地球温暖化で海面が上昇すれば、真っ先に被害を受けるどころか、国土消滅の危機です。日本が常に地震と隣り合わせであるように、オランダ人の潜在意識には洪水の恐怖があるようで、他国の気象状況にもアンテナを張り巡らしており、日本の台風、地震、津波は常連ニュースといえます。

現在、家の前で道路を掘り返して水路を作っていますが、これは治水事業の一環です。このところ欧州一帯でも、異常気象が続き、年毎に被害も増えてきているため、将来を見据えて、水路を拡張しているのです。ただし、この場所は100年前、元々運河だったところを、戦後の人口増加で土地が必要になりいったん埋めて道路にしたため、年配の人たちのなかには、「埋めたり、掘ったり、税金がもったいないことで・・」とぼやいている人もいるんだとか。もちろん、半世紀以上も昔には温暖化現象そのものが想定外だったので仕方がありません。

とはいえ、今から半世紀後に、表出する事象とは一体どんなものか考えるとちょっと怖い気もします。直面しなければならない現実がいつも私たちの想像をはるかに超えたものなのが環境問題の難儀なところです。 「不都合な真実」は残念ながらまだ見ていません。
元同級生だった男性に言わせれば、アルゴアのしゃべる場面が多すぎて、衝撃映像も思ったより少なく退屈だったのだとか。「特撮映像をふんだんに散りばめた娯楽作品じゃないのだから、当然じゃない。あんた何を期待しているのよ」と思いつつも、前宣伝が大げさすぎると、勘違いしてエンタテーメントを求めてしまうのは人の常。日本でも年明けに上映されるそうですが、配給元のPRが行き過ぎてポシャらなければいいのですけれど。
私としては作品に真摯に向き合いたいと思います。いずれにしろ大変気になる映画です。

クロイラーミュラー美術館(英語)

<不都合な真実>
http://www.futsugou.jp/
http://www.futsugou.jp/main.html

★東京のBUNKAMURAではスーパーエッシャー展開催 
11月11日(土)から1月13日(土)
エッシャーもオランダ人です。お父さんは明治期にお雇い外国人で土木技師として来日していたこともあり、大阪の淀川修復にも携わったそうです。
Bunkamura ザ・ミュージアム「スーパーエッシャー展」


前回、ベアトリクス女王御用達のチョコレートショップのことを書きましたが、先週、ハーグのそのお店に行ってきました(ミーハー!?)その名はサロン・ド・ショコラ、日本にも店舗があるそうです。「女王様は護衛もなしに自分で買いにこられるのですか?」と聞いたら、「それはさすがにありません」ということでした(なーんだ・・・)要人のお土産やおもてなし用にお付の人が買いに来るそうで、「たくさん購入して下さって有難いながらも、前触れがないので売り切れが心配だったりします」とは、お店の人のコメントです。嬉しい悲鳴ですね。


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Marta Pan, Floating Sculpture , 1960-1961年

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ビジターズセンターで情報を入手してから、白バイクに乗って広大な公園を探検するのが賢明。 併設のミュージアムオンダーでは、地理や生態系の説明が展示されている。

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誰かいますかぁ? ふーむ、奇天烈な形だけど、中に入ってみたいかも…

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Garden of enamel (エナメルガーデン)
Jean Dubuffet 、1974年

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同じく、エナメルガーデンアート作品に登って全容を眺めることができるのだ。

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おなじみゴッホ作品がせいぞろい。混んでいるといっても日本の比ではないので、ゆっくりと鑑賞できる。

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ヘレン、ドイツ人実業家の娘。父親の事業を継いだオランダ人と結婚し、美術の収集をはじめる。夫妻はクロイラーミュラー美術館の創始者。

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真下からみたら、目がぐるぐる回って空に吸い込まれそうな感覚が味わえる?

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ブルース・ナウマン、日本ではベネッセが所有する直島の美術館で見れます。



るりさんは、「Ecozy.com エコツーリズムと持続可能な観光」というWEBサイトの運営者。世界最大産業である観光が、環境、社会、文化、経済に与える影響とはどんなものなのでしょう? 目からうろこですよ!
「Ecozy.com エコツーリズムと持続可能な観光」を見る


◆オランダ留学通信──これまでの話◆

第1回
第2回
「サンタがやってきた」
第3回
「レジャーで修士号」
第4回
「インターネットと留学」
第5回
「女王様の誕生日」
第6回
「平和調印の街」
第7回
「EURO 2004サッカー夢の競演」
第8回
「マーケットに行こう」
第9回
「オリンピックこぼれ話」
第10回
「<快適な住まい>が留学成功の鍵」
第11回 「世界最古のプラネタリウム」
第12回 「博物館天国」今年のベストは?
第13回 「ありがとう、かえるくん」
第14回 「チューリップの花便り」
第15回 「雅子妃も癒される緑の楽園・ヘルダーランド州」
◆るりさん取材の特集は読んだ?◆
「トルコ・地中海地方で遊ぶ」


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