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オランダ留学通信

第17回
2007年は「風車年」

upload:2007.04.10

オランダ風車

「風車の国からこんにちは」とタイトルを掲げていることもあって、
いつか風車の話をしてみたいとずっと考えていました。
折りも折、今年2007年は「風車年」ということで、関連話題を拾ってみます。


オランダという国は、周知のとおり元々沼地だった所を人工的に干拓して興されたものです。海抜より低い土地からせっせと水をくみ出すのに不可欠だったのが風車で、その存在がなければとっくの前に国土は海の中だったかもしれません。そんな国家の「命綱」が文献に初めて登場したのは丁度600年前の1407年のこと。最盛期の19世紀後半には9,000基を越える風車が稼働していたのですが、ハイテク風車と次々バトンタッチし、残存するのは1,000基強。しかも老朽化が激しく補修に莫大な費用(一説には100億円以上)がかかるので、その存続が危ぶまれています。というわけで、節目にあたる今年を「風車年」として認定し、国民の関心を呼び覚まそうと関係者は頑張っています。

ところが先日TVの旅番組を見ていたところ、風車の起源はアフガニスタンにあると聞いてびっくり! どうも紀元前にはバビロニア帝国で利用されていたようで、それがスペインへ渡り、そこからオランダへもたらされたらしいのです(スペイン経由だなんて、まるでサンタクロース)。中央アジアでは穀類をすり砕くのに利用されていたらしく、ポンプになるのはオランダに渡ってからのことなのだとか。一口に風車と括っても、実態は千差万別。先日も、知人を案内してアーネムの野外博物館に行ったところ、色んな形と機能の風車が園内にあって「へー!」の連続でした。

形といえばオランダ人デザイナーの “ウィンドミル・ツリー”は斬新で衝撃的です(写真はリンク)。景観公害が問題になっている中、Ton Matton氏が政府委託により考案したもので、花束や木をイメージしているのだそうです。環境のために風力発電などの代替燃料を模索しながらデザインにも目配りするオランダ人。「さすがー。拍手パチパチ」といきたいところですけれど、こんな「抽象アートのお化け」があちらこちらにニョキニョキ屹立するとなると、きっと不気味に違いありません。だけどこの奇抜な発想力。突拍子がなくて、時々ついていけないのですけれど、やっぱり「オランダ人って面白くも摩訶不思議」と又もや恐れ入ってしまいました。

さて、風車もその昔は、動力機械以外に意外な活用のされ方があったようです。通信手段としての利用です。戦争中は無線が傍受される恐れがあるので、羽の停止位置を十文字にしたり、あるいは角度をずらしてバッテンにしたりして潜伏する味方に情報を送っていたと、物の本には書かれています。また地方によっては、結婚式や赤ちゃん誕生などお目出度いことがあれば、羽を満艦飾に飾りつけ祝意を表すこともあります。いずれにしろ山がなくフラットなオランダでは見通しがよく目立つので、この方法はうってつけと言えるでしょう。毎年5月には「風車の日」というのがあって、全国一斉に風車が回り各地で風車公開や粉引きなどのデモンストレーションなどが開催されるので、運がよければ旗でおめかしした風車にも出会えるかもしれません。今年は5月12日(土)が予定されているので、当日オランダに居合わせることがあれば、風車に注目ください。

そんな「お祭り年」の注目は、デンボスにある美術館で5月28日(月)まで開催される「巨匠たちが描く風車:レンブラントからモンドリアンまで」という企画展です。名匠たちもオランダで生まれ育ったからには必ずやその原風景に風車が刷り込まれていることでしょう。そんなシンボルを、著名な画家たちがどのような切り口で描き出しているのか興味深いところです。同展覧会はデンボスで終了後、デンハーグやアッセン(ドレンテ州)の博物館を巡回する予定なので、多くの人にとって訪問できるチャンスも増えることと思います。ところで個人的に今年度の私の目標は、キンデルダイクに行ってみること。この一画には国内唯一19基もの風車が現存しており、文化財遺産としてユネスコ世界遺産(正式にはエルスハウトの風車郡)にも登録されている場所なのですが、ちょっと不便なところにあるので、泊りがけの旅になりそうです。もし実現すればまたいつかご報告させていただきます。


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隣町レーネンの風車。子供が出入りしていたので公の施設だと思い 登っていったら、一般住居でした。

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玄関。家族と目があっちゃった。知らなかったとはいえ、すみません。

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夕暮れ(ライデン)

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プット風車(ライデン)。このすぐ近くにレンブラントの生家が。

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デ・ファルク風車博物館(ライデン)。
http://home.wanadoo.nl/
molenmuseum/index.htm

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930年頃まで現役、排水用小型風車(アーネム屋外博物館)。
http://www.openairmuseum.nl/?
rewrite=english

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羽のてっぺんで翼を広げて威張る?鳥。気持ちよさそう。

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こちらは粉引き用の風車(アーネム屋外博物館)。

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オランダの北部地方は風が強く、風車設置に最適。他、デンマークやドイツなども風力発電に熱心。

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農道ににょっきりそびえたつ風車たち。土地を所有する農家は売電しているそうな。

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案外、音がうるさく、ご近所から苦情もある模様。フリースランド州。

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風車はオランダ語でMolen。近所の風車でもらってきた、風車年のPR絵葉書。自由に使っていいよと許可いただきました♪

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番外編<日本の風車>鹿児島・野間半島の風車。音がすごかった。近くに九州電力の展示館があってお土産までいただきました。

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番外編<日本の風車>鹿児島・野間半島の風車。郡山の上に注目。絶景かな。

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番外編<日本の風車>鹿児島・野間半島の風車。山のてっぺんまで車で登って風車の足元までいけます。



Meesters en molens: van Rembrandt tot Mondriaan
「巨匠たちが描く風車:レンブラントからモンドリアンまで」

*Den Bosch, Noordbrants Museum
1/27(土)〜5/28(月)
http://www.noordbrabantsmuseum.nl/

*The Hague, Bredius Museum
6/15(金)〜9/2(日)
http://www.museumbredius.nl/

*Assen, Drents Museum
9/18(火)〜12/9(日)
http://www.drentsmuseum.nl/




*追記*
4月某日のオランダTVニュース

地球温暖化の影響でアルプスの氷河が溶け出して、ライン川が増水する可能性あり。海水上昇は長年の研究蓄積があり、対策可能だけれども、内陸部からの水の浸入は想定外なので深刻らしい。

浸水予想マップをみると、思いっきりワーゲニンゲンも含まれていましたぁ・・・w(゚o゚)w オオー!



るりさんは、「Ecozy.com エコツーリズムと持続可能な観光」というWEBサイトの運営者。世界最大産業である観光が、環境、社会、文化、経済に与える影響とはどんなものなのでしょう? 目からうろこですよ!
「Ecozy.com エコツーリズムと持続可能な観光」を見る

*上記サイトは諸般の事情で更新しておりません。最新情報はブログ「ネットで学ぶ身近な観光学」をご覧ください。
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