特集 自然と環境の読書案内

サラソウジュの木の下で
インド植物ものがたり


著者:西岡直樹

出版社:平凡社

ISBN:4582481388

価格:1,785円(税込)

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レビュアー:K

インドの人々の素朴で心ゆたかな暮らしぶりを、植物とのかかわりをとおして見つめたエッセイ集だ。三十年以上まえ、初めてインドの地を踏んでから現在にいたるまで、著者は幾度となくベンガルの村を訪れ、村人と生活をともにしてきた。植物に対するその視線は、少年のような好奇心にあふれている。気候風土のちがう土地で初めて出あう植物への新鮮な驚きと、植物とともに生きる人々への共感、それがこの本の原点だ。
花祭りが行われる春のサラソウジュの森、少女の髪を飾る白い花の香り、バザールに並ぶ木の実や草花、葉っぱのお皿に盛られた料理、そして夕べの祈りに薫かれる香のかぐわしさ。人々は精霊の宿る大木の葉陰に憩い、手仕事にいそしむ。そこには、神話や伝説に語りつがれた花や木の物語そのままの舞台が、ありふれた暮らしの風景としてひろがっている。
詩人タゴールが創設した学園での留学生活や、民話を求めて訪れた村の印象など、まるで昨日のことのように語られる若き日のエピソードも楽しい。著者による精緻な植物画と、村の絵師の描くおおらかな物語絵が、やさしい筆致の文章に味わいを添えている。

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